白目をきれいに
2014年01月10日 (金) | Edit |
今月の掲載は7本。

いずれも名古屋・志摩への遠征で購入した酒だ。

ジャケ買いしたわりには大きな外れがなく、概ね満足の12月だった。



今月の一押しは房島屋。

旨みが乗った乳酸系が好きなので、好みにピッタリはまった酒だった。

広島では扱いがなさそうなので、何度かネットで取り寄せてみたいと思う。


(評価は、なし~★★★★★まで。個人の好みで評価している)



日本泉 純米吟醸 無濾過生原酒 限定おりがらみ ★★★
岐阜県岐阜市 日本泉酒造 720ml 1,500円 酒泉洞堀一@愛知県名古屋市

本酒を醸す日本泉酒造は、JR岐阜駅前の一等地に14階建の本社ビルを構え、地下で酒造りを行っているとの事。

現在地よりも南西に約7km行った所にある茶屋新田という場所で江戸末期に創業され、明治初期に現在地に移転。

平成14年には、岐阜駅前再開発に伴いビルを建てたという経緯だそうだ。



地下での醸造といえば、白島(広島市中区)にある原本店(蓬莱鶴)が思い浮かぶが、日本泉ビルを建てる際には原本店へ見学に行かれたとの事。

現在は、「一年中美味しい生酒が飲める酒蔵」を標榜され、地下の安定した温度環境の元で、三季醸造(春・秋・冬の3シーズン酒造りを行っている。通常は冬~春の一季のみ。)にて酒を醸している。



本酒は、ラベルに書かれた「日本泉」の文字の色が気に入り、購入。

グラデーションの緑色の文字ラベルは、「町田酒造」や「陸奥八仙」など多くの蔵で使われており、いずれも旨かった記憶がある。



開栓してみると、生酒らしさと果実味のあるたおやかな香りが、スーッと鼻腔を通り抜ける。

底におりが沈んでいたので、まずは上澄みだけ飲んでみると、ジューシーな旨味が舌の上に広がり、辛味を伴いスッと切れる。

仕舞いに感じられる米っぽさも良い。

次に瓶を上下して混ぜて飲んでみたが、もろみの旨味が追加されてコクが出る一方、雑味も感じるようになった。

個人的には上澄みだけ飲み進めて、底の方は少しの間放置した後、温めたりしながら楽しみたかったが、夜もふけた頃、気付けば瓶は空になっていた。







酒屋八兵衛 山廃純米酒 伊勢錦 ★★★
三重県多気郡 元坂酒造 720ml 1,250円 べんのや酒店@三重県志摩市

代が変わると酒が一変し、人気の蔵になった。

この手の話は最近良く聞くが、本酒を醸す元坂酒造(げんさかしゅぞう)では昭和の時代に同様の事が起きていたらしい。

現蔵元の元坂新氏が蔵に戻った頃は、日本酒安売り時代の最中だったようで、当時醸していた東獅子(あずまじし)や五十鈴川(いすずがわ)という銘柄の営業をしても値引きの話ばかり。

そこで立ち上げた値引きなしの新ブランドが、「酒屋八兵衛」だったとの事。

銘柄名は、当蔵の創業者:元坂八兵衛氏に由来。

平成9年頃に急病で倒れた杜氏に変わり、蔵元自らが酒造りを始め、2011年には「自遊人」という雑誌が当蔵を取り上げた。

その影響か、首都圏・関西等の地酒専門店に酒屋八兵衛が並ぶようになったとの事。



本酒は、そんな背景は全く知らず、使われている酒米が伊勢錦という1点だけで購入してみた。

軟水由来のまぁるい口当たりで、軽やかな米の旨味と軽い山廃感が特徴だろうか。

仕舞いは案外辛く、ここがもう少し穏やかであれば良いのに、とも感じた。



開栓から数日経って55度に温めてみると、味わいは維持しながらも口当たりが最後まで丸く、やはり燗の方が旨い。

穏やかに乳酸が香り、燗上がりする食中酒で、これからの季節にはちょうど良さそうだ。







山和 特別純米中取り原酒 ★★★
宮城県加美郡 山和酒造店 720ml 1,418円 酒泉洞堀一@愛知県名古屋市

首をMAX90度傾けたシマリスの「いぢめる?」と言うフレーズで一世を風靡した「ぼのぼの」。

主人公をはじめとする登場キャラクターが全て動物であり、全37巻・総発行部数約900万部を誇るヒット漫画である。

作者は、いがらしみきお。

24歳で漫画家としてデビューを果たす。

代表作は「ぼのぼの」「忍ペンまん丸」等でいずれもアニメ化までされているとの事。

そんないがらし氏の出生地として知られているのが、宮城県加美郡加美町だ。



この街には、羽後街道と中羽前街道が交わる交通の要衝があり、その付近に本酒を醸す山和酒造店(やまわしゅぞうてん)はある。

創業は、1896年(明治29年)。

船形山系の湧水に宮城の酒造好適米:蔵の華と言う酒米をメインに使用し、熟練の南部杜氏の技で酒を醸しているとの事。

本酒は瓶の佇まいが良かったので、購入を決めた。



透明セロファンと思われるラベルは、どことなく呉市の大内山酒造(大内山本醸造DRY)を思い起こさせてくれたのも、購入を決めた遠因になっている。

実際に飲んでみると、ややアルコール感強めの印象ではあるが、ぬるんとした舌触りに、でしゃばり過ぎない旨味が余韻として響く。

開栓から30分、1時間と経つにつれ旨味が乗ってきて、めでたい日に開栓した事もあり、あっというまになくなってしまった。







房島屋 純米無濾過生原酒 ★★★
岐阜県揖斐郡 所酒造 720ml 1,260円 酒泉洞堀一@愛知県名古屋市

揖斐というと、数年前に「揖斐茶(いびちゃ)」が有名になったことを記憶されているだろうか。

飛騨古川にサッカー日本代表監督イビチャ・オシム氏(当時)がキャンプに来た際、揖斐川町の宗宮町長の発案によりオシム監督に揖斐茶を差し入れたそうだ。

この事がニュースとして広がり、揖斐茶は一躍全国区に。

当時ほどの盛り上がりは既に無いそうだが、サッカーファンの記憶に確実に留まった意義は大きいのではないだろうか。



揖斐茶の主生産地の一つである揖斐川町は、岐阜県の北西部に位置し福井県と滋賀県に隣接する町だ。

中心部では30センチ程度、場所によっては2~3メートル程度の積雪が有る豪雪地帯だが、夏は一転して連日の猛暑日に見舞われることも有り、県下随一の酷暑地帯としても知られている。



本酒を醸す所酒造は、揖斐川町で明治初頭に創業。

以前は越後杜氏に来てもらい酒造りを任せていたそうだが、今は社員自らが酒造りを担っているとの事。

平成10年には5代目となる所優氏が、愛媛の「梅錦」での修行を終え蔵に戻り、限定流通ブランド「房島屋」をリリース。

銘柄名の由来は蔵元の屋号から来ているとの説明書きもあったが、その基になっているのは地名ではないだろうか。

揖斐川町の中心地は、かつて大和村という地名で呼ばれており、その大和村は1897年(明治30年)に極楽寺村・上南方村・若松村・房島村の4村が合併してできた村である。

古地図が手元に無いので分からないが、蔵は元々、房島村にあったのかもしれない。



さて本酒は、酒泉堂堀一のブログにしばしば登場しており、その名を記憶していたため、購入してみた。

開栓直後は、酸が高そうな香りが瓶口から上がってくる。

ぐい呑みに注いでみると、しっかり目の黄金色をしている事が明確に分かる。

飲んでみると、熟した甘みを伴う旨味が舌の上に広がり、渋味と辛味が余韻に残る。

時折、乳酸系の旨味やドライフルーツのようなニュアンスも感じられ、なかなか面白い旨さだと感じた。



開栓から1週間以上経過して常温で飲んでみると、乳酸系の甘み旨味が強く感じられるようになっていた。

これは一升瓶で買い、開栓後、しばらく常温放置してみたいな。







ドルチェ・ビアンコ ★★★
栃木県さくら市 株式会社せんきん 720ml 1,500円 酒泉堂堀一@愛知県名古屋市

蔵については2012年11月の記事を参照の事。

本酒の事は何も知らずに購入したが、その名前からは「より甘さが引き立つものの、仙禽独特の酸で切れ流す」というイメージを持っていた。

イタリア語で白を意味する「ビアンコ」とは何だろうかと思い裏ラベルを見ると、使用麹が白麹(焼酎用の麹)と書いてあった。

少し調べてみると、通常に日本酒で使用する麹は雑菌の繁殖を乳酸で抑えるが、白麹はその役割をクエン酸が行っているそうだ。



さて、開栓初日。

口の中がさっぱりする酸が感じられるが、ドルチェと言うほどに甘さは感じられなかった。

開栓5日後も大きな変化は無い。10日程経つと、甘さと酸味が出始め、シルキーな口当たりと共に満足のレベルに達した。

当初抱いていたイメージとは異なる酒だが、これはこれで面白いし旨いと思う。







俳聖芭蕉 純米大吟醸 ★★★
三重県伊賀市 橋本酒造場 720ml 2,100円 べんのや酒店@三重県志摩市

松尾芭蕉。

蕉風と呼ばれる句風を確立した日本史上最高の俳諧師の一人。

弟子の河合曾良とともに江戸から東北・北陸を巡った紀行文「おくのほそ道」の著者でもある。

5・7・5の17文字からなる俳句は世界最短の定型句とされ、季語を入れる事などいくつかの特徴で成り立っている。

芭蕉の詠んだ句で特に有名なものは「閑けさや岩にしみ入る蝉の声」「夏草や兵共がゆめの跡」などだろうか。



そんな芭蕉だが、生誕地は三重県伊賀市だ。

しかし、世間一般的には、伊賀市といえば「芭蕉の生誕地」ではなく「忍者の里」と認識されている。

伊賀市では「芭蕉祭」というイベントを芭蕉の命日である10月12日に行っているが、それに負けじと毎年4~5月初旬まで「伊賀上野NINJAフェスタ」なるイベントが開催されているとの事。

期間中の土日祝日は、「忍者変身申込書」を提出すれば忍者変身処で忍者服に着替え、街巡りが可能。

また、期間中は市職員(主には商工観光課)が忍者服をまとうなどし、機運を盛り上げているらしい。


そんな伊賀市において、松尾芭蕉の名を冠した酒を醸すのが橋本酒造場だ。

当蔵は、1887年(明治20年)に創業。

地元で消費される普通酒をメインに醸していたが、現在の社長兼杜氏である橋本勝成氏が蔵に戻ってからは吟醸造りにも取り組まれ、平成20年から6年連続で全国新酒鑑評会の金賞を受賞。

酒造りは蔵元夫婦2人だけで行う、年間150石の極小蔵ではあるが、その自力は注目を集めているそうだ。

今回は別スペックを買うつもりだったのだが、品切れのため本酒を購入することとなった。

聞いてみると全国新酒鑑評会金賞酒の姉妹酒との事。



開栓初日。

香りからは抑えられた吟醸香が感じられ、酸が潜んでいそうなニュアンスもある。

実際に飲んでみると、山田錦らしい旨味の輪郭が感じられるが、それはたおやかであり、次第に辛味をジジジと感じ始める。

酸は舌の上に残る感じで、残り香は白い花のよう。

そういえば、酵母は秋田花酵母を使っているそうなので、この表現もあながち間違いではないのだろう。



開栓から数日後。

冷やして飲んでみると、品の良い旨味に少しの辛味が効いた旨い酒になっていた。






作 prototype H 純米無濾過原酒直汲みあらばしり ★★
三重県鈴鹿市 清水清三郎商店 1,800ML 2,980円 べんのや酒店@三重県志摩市

F1でも使用される鈴鹿サーキットがあることで有名な三重県鈴鹿市。

三重県の北部に位置する当市は、本田技研工業や富士電機機器制御などの工場を擁し、工業製造品出荷額は県内2位、米や伊勢茶などを中心とする農業生産額は県内1位を誇る。

また、競馬ファンの心に深く刻まれた悲運の名馬サイレンススズカの馬名の由来にもなっているとの事。



そんな鈴鹿市は、かつて味酒鈴鹿国と呼ばれ酒造業が盛んだったそうだが、現在では清水清三郎商店を残すのみとなっている。

当蔵の創業は1869年(明治2年)。

鈴鹿市の中でも海に近い若松地区に所在し、地元に流れる鈴鹿川と同じ名前の酒を主力銘柄としている。

さて、作というシリーズが登場したのは2000年(平成12年)の事。

「さく」ではなく「ざく」と発音させる事から、ガンダムファンの間で知られるようになり、首都圏を中心に人気銘柄になったそうだ。

この辺りは銘酒のプロデューサーも絡んでの事なので、「偶然」なのか「仕掛け」なのかは曖昧なままではある。



さて本シリーズとは、2011年に東京駅グランスタの長谷川酒店で一度見かけてはいたが、ガンダム云々という説明書きをみて色物ではないかと判断して購入を見送り。

それから2年後に三重県の酒屋で購入することになるとは思いもしなかった。



開栓初日。

舌にピと感じる微々発砲酒であり、熟した旨味と渋みが先行するタイプ。

仕舞いはするっと切れていくが、ほのかな余韻がやや重たい感じを受ける。

そして個人的には、酒自体の若さに由来すると思われるアルコール感の強さが気になる。

試しに炭酸で割って飲んでみると、薄っすらとではあるが終始一貫した旨味が1本通っていて、ほのかに作らしさを感じさせる。

喉越しはよくなるので、グイと飲むにはちょうど良い。



開栓初日に4割ほど飲んでしまったが、味に変化が出てくる事を期待して、現在ではちびちびと飲み続けている。

目安は10日後だろうか。





その他の日本酒に関する記事はこちらからご覧いただけます。










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